赤ちゃん連れでもアッパークラスを使いたい
赤ちゃん連れでも、いやだからこそ上級クラスを使いたいことはあると思います。
海外赴任者の場合、事情によりお母さんが二人の乳幼児を連れて一時帰国したり帯同赴任したり、ということがあったりします。そんなとき、ビジネスクラスだったら座席やそのまわりに占有できるスペースが広いのでかなり楽です。子供の荷物は多いですし。
しかし、乳幼児のビジネスクラス・ファーストクラス利用には若干の制限が伴います。この記事では私の経験から、それをまとめています。なお、エコノミーで適用される内容も一部書いてあります。
なお、以下は主にANA国際線の場合ですが、座席固有の装備や配置を除く大部分は他の航空会社でも当てはまると思います。航空会社の用語では「乳児」という言葉はないようで、「幼児」は生後8日以上2歳未満、「小児」は2歳以上12歳未満を指すため、以下ではそれに従います。
まとめると以下の通りです。
- 座席を取らない幼児は、マイル等を使ってのアップグレードはできない。
- 幼児や小児が座席を取った場合、アップグレードでかかるマイル数は大人と同じ。
- 2歳未満でもビジネスクラスの座席を取ることは可能。
- 幼児・小児の座席指定には制限があり、非常口座席などは指定できない。
- 幼児の座席位置には保護者との位置関係に制限がある。
- 幼児はバッシネット(機内用ベビーベッド)を利用可能だが、必須ではない。
- ファーストクラスではバッシネットを設置できない。
- 機内食は搭乗クラスに合わせたチャイルドミールがオーダ可能。
- 一部座席は子供連れのためにブロックされている。
- 手荷物許容量は座席を確保した場合は大人に準じる。
では、以下で詳細を見ていきます。
[1] 座席を取らない幼児は、マイル等を使ってのアップグレードはできない
要は、エコノミークラスで親の膝の上に赤ちゃんを乗せる場合、赤ちゃんの分はマイル等でアップグレードできないのです。ビジネスクラスの料金を支払う必要があります。
その料金は「正規料金」の10%です。これはこちらで以前詳しく書きました。
そのため、座席を確保しない赤ちゃん連れで親がアップグレードする場合は注意が必要です。赤ちゃんが正規料金を払っているのに親のアップグレードが空席待ちで取れない、ということもあります。
別に設定があれば、正規運賃より安い料金になることもあるようです。
[2] 幼児や小児が座席を取った場合、アップグレードでかかるマイル数は大人と同じ
赤ちゃんでも小学生でも、座席を取ればマイルによるアップグレードは可能ですが、別に子供料金だからと言ってアップグレードに必要なマイル数やアップグレードポイント数は変わりません。大人と同じです。
たとえばANAの東京~ロンドン線の場合、大人は片道28,000マイルでアップグレード可能ですが、子供でもこれは一緒です。
ちなみに、このルールは特典航空券の場合も同じで、子供に必要なマイル数は大人と一緒です。
[3] 2歳未満でもビジネスクラスの座席を取ることは可能
2歳未満の幼児でも座席を取ることはできます。極端に言えば、生まれたばかりの赤ちゃん(生後8日以降)なら飛行機のチケットが取れ、座席を取ることもできます。その場合の料金は大人料金の75%となります。ただ、以下に書くようないくつかの制限があります。
あと、座席を取った場合、離陸・着陸時は膝の上に抱くように言われます。チャイルドシート(車用のもので可)を持ち込んだ場合はその限りではありません。
[4] 幼児・小児の座席指定には制限があり、非常口座席などは指定できない
国土交通省の通達により、非常口座席には15歳以上でないと座れません(こちらの21ページも参照)。欧州でも基本的には同じで、子供連れは非常口の列(足元が広いことが多い)には座れません。
[5] 幼児の座席位置には保護者との位置関係に制限がある
[3]に関係しますが、幼児(生後8日以上2歳未満)が座席を使う場合、保護者(親等)の「隣の席」に「通路を挟まないで」確保する必要があるようです。
この要件から、ANA機材では幼児がファーストクラスの座席を確保することはできません。なぜなら、横が1-2-1という座席配置で、中間の2席は互いに行き来できないためです(膝の上は可能なようです)。
同様に、ボーイング787のビジネスクラス(座席数169席、158席の機材)も、隣り合ってすぐに行き来できる席がない(機内中央部のD列とG列の間は行き来できません)ため、座席を確保できません。
ボーイング777-300ER機材(ANA BUSINESS STAGGERED)のビジネスクラスの場合は、D列-F列またはE列-G列で(ちょっとだけ離れますが)互いに行き来ができる「隣」になるので、この組み合わせでのみ座席を確保することができます。
[6] 幼児はバッシネット(機内用ベビーベッド)を利用可能だが、必須ではない
バッシネット席は少ない(通常壁のすぐ後ろ)ので、必ずしも取れるとは限りません。でも、赤ちゃんをバッシネットに乗せるのは決まりではないので、座席を取らない赤ちゃんとバッシネット席でなくてもかまいません。ただ、その場合ずっと膝の上(抱っこ)になるので長距離路線だと大変でしょう。
ANAやJALの長距離ビジネスクラスはフルフラットですが、ベッドにした時の幅が65cm (JAL)、64.3cm (ANA)なので、一緒に寝るのはきついかもしれません。
ファーストクラスなら...1席でも赤ちゃんと横に並んで寝ることができるかもしれません。ちなみにベッド幅は84cm (JAL)、83.6cm (ANA)あります。
なお、バッシネットの利用は体重10kg (JALは10.5kg)までとなっていますが、たまにかなり大きい赤ちゃん(幼児なので2歳未満)をバッシネットで見かけることもあります。自己申告ですから...。
[7] (ANAの場合)ファーストクラスではバッシネットを設置できない(つける場所がない)
ANA FIRST SQUAREでは、バッシネットを設置する場所がありません。そのため、バッシネットは付けられません。幼児を連れて行く場合はひざの上になります。 まぁ、ファーストクラスの座席は上記のように幅があるので、細身な方なら添い寝もできるでしょうし、近くの座席が空いていれば、たいていもう一席使わせてもらえます。
ANA BUSINESS STAGGEREDのバッシネット席
右奥がバッシネット取り付けスペース
[8] 機内食は搭乗クラスに合わせたチャイルドミールがオーダ可能
出発24時間前までに予約すれば搭乗クラスに合わせたチャイルドミールを出してもらえます。ただ、私は子供連れファーストクラスの経験がないので、ビジネスクラスでの話です。
ANA ビジネスクラスのチャイルドミールはエコノミーとは異なり、3コース(前菜、メイン、デザート)で出てきます。ただ、パスタの割合が高いのですが、これは機内で温めなおす関係で味は...正直いまひとつです。他のものは結構おいしいものが出ます。量も多く、小児の11歳でも満足できると思います。足りなくても軽食をオーダできますので、空腹になることはないでしょう。むしろ小さい子だと余ってもったいないです。
[9] 一部座席は子供連れのためにブロックされている
ANA では、ビジネスクラス・エコノミークラスの一番前の席(壁のすぐ後ろ)の席の一部は、バッシネット利用者のためにブロックされており、事前座席指定できません。ただし、24時間前(オンラインチェックイン開始時刻)になるとこのブロックが解除され、座席指定できるようになります。
子供連れの場合、電話でバッシネット利用の旨を伝えてバッシネット利用可能席を予約するのが普通ですが、バッシネットを使わない子供(座席を確保している等)の場合も電話で事前にこの席を予約することが可能です。ただ、これは私の経験でそういうことができたということであり、常に可能かどうかは分かりませ ん。
またこのことを利用したTipsとして、子供連れかどうかにかかわりなく、いい座席が取れなかった場合は、オンラインチェックイン開始時刻に合わせて壁前の座席を(先に予約している子供連れがいなければ)確保することができます。
ボーイング777-300ERの場合、このバッシネット席は5D, 5H, 7D, 7H, 18D, 18H (18列目は機材による)です。
[10] 手荷物許容量は座席を確保した場合は大人に準じる
クラスにより受託手荷物許容量が違いますが、座席を確保した幼児・小児は大人の該当クラスと同じ量の荷物を預けることができます。
座席を確保していない幼児を連れている場合、1個まで無料で手荷物を預けることができます(ANAの場合)。また、ベビーカーは手荷物の個数にカウントされませんが、機内で使用できないので、常に預けることになります。
チャイルドシートを持ち込む場合も手荷物の個数にはカウントされません。機内で必要なら持ち込むこともできます。
このあたりに注意すれば、小さな子供のビジネスクラス・ファーストクラスの利用自体には何の問題もありません。
時々ネットで「子供はビジネスクラスに乗るな」といったような意見を見かけますが、ナンセンスです。もちろん聞き分けのできる年齢の子供には騒がないように言 い聞かせるなど、配慮は必要です。飛行機の通路を大声を上げながら走り回る、などというのはクラスにかかわらず迷惑です。しかし、ビジネスクラスの経験では(特にANA BUSINESS STAGGEREDのような座席の場合)、各席がそれなりに離れていること、飛行機という環境はもともとかなり騒音があることから、近くで赤ちゃんが泣い ていてもそれほど気になりません。ビジネスクラスやファーストクラスではノイズキャンセリングヘッドフォンを装備したり、耳栓を配布したりする航空会社が多いですから、気になるならそういうものを使ってもいいでしょう。どのクラスでも共有の空間。お互い配慮が必要です。
というわけで、お子様と楽しい空の旅を。
匿名
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修理に出す寸前でした。ホントにありがとう!