今回は昔の話になりますが、ビジネスクラスに「手違いで」乗ってしまった話です。
エコノミーのチケットを送ってビジネスのチケットを受け取る?
当時私はPittsburghに住んでいて、帰任することになるため航空券の発券をサンタクララのJTBに依頼しました。私が住んでいたときには9.11テロがあり、安全性確保のため「緊急脱出航空券」として日本行きのオープンのエコノミー航空券が会社から支給されていました。実際には「緊急脱出」する必要はなかったので、その航空券を実際に日時指定して発券してもらうためにいったんJTBに送ったわけです。
チケットを受け取ると、ピッツバーグ(PIT)→ワシントン(IAD)は普通にエコノミークラスでしたが、こちらのIAD→NRTの発券レシートをよく見ると「C」の文字が...(赤枠部分)。それに値段が妙に高い。片道で3,600ドル以上って、オープンでもちょっと高すぎないですか?
当時はあまり気にもせず、帰任準備に追われていました。
当日
ピッツバーグの朝
さて、帰任当日。ピッツバーグ国際空港からワシントン・ダレス国際空港まではUnited Airlines 7308便。機材はUnited Express運航のSAAB 340で、1+2の3アブレスト。35人程度の客室定員の小さなプロペラ機です。前日は空港近くのホテルに泊まり、当日早朝に出て6:40の搭乗時間に間に合わせました。
ピッツバーグはUS Airways創業の地。DublinのAer Lingusのように幅を利かせています。ここで展示されている飛行機も元はUS Airwaysの郵便飛行で使用していたものです。今回私はANA系と同じスターアライアンスのUnited Airlines利用だったので外様です。
まぁ、ボーディングブリッジをつけてもらえないのは外様だからではなくて飛行機が小さいからなんですけどね。
ワシントンに到着しても歩いてターミナルまで移動です。
乗り換えでビジネスチケットをゲット
ここでANAに乗り換えます。1年ぶりにANAの係のお姉さんにチェックインしてもらいます。すると、手渡されたのはこれ。
CLUB ANA
やっぱり"C"の文字は見間違いではなかった!
生まれて初めてのビジネスクラスチケット♪半券ですが。チケット自体がビジネスクラス専用なのか、"CLUB ANA"の文字がありますね。便名はトップナンバーの"NH0001"です。
このゲートB41はこのNH1便専用です。少なくとも、NH1便は常にこのゲートに駐機するようです。その理由は、このあと生まれて初めて入るラウンジにもあります。
初めてのラウンジ
この先に見える"EXIT"ドアの向こうはビジネスクラス以上の専用搭乗口に繋がっています。つまり、ANAラウンジと搭乗口が一体化しているため、NH1便は常にここに駐機するというわけです。
振り返れば...。
現在、ワシントンD.C.ダレス国際空港でのANA利用者のラウンジはルフトハンザのラウンジを利用するようになっていますが、2002年当時は1日たった1便のこのNH1便のためだけにこのラウンジがありました。なんとも贅沢な話です。ひょっとしたら別の時間帯に他の航空会社が使うようにしていたのかもしれません。
搭乗
初めてのビジネスクラス
さていよいよ搭乗です。
ラウンジの専用搭乗口から意気揚々と登場します。見た感じでは機材はボーイング777のようです。
この角度から見ると座席は横幅がだいぶ広いですが大したことないように見えます。しかし...
座席間隔が広い! 座席が厚い! エコノミーしか乗ったことのなかった私には経験したことのない世界でした。
この当時のANAのビジネスクラスはCLUB ANAというブランド名がついていました。フルフラットにはならない「一昔前」のビジネスクラスなのですが、それでもさすがにエコノミーに比べるとシートピッチは広いです。
若干時代を感じさせる座席前ポケットにはアメニティの入った袋が用意されていました。見ての通り私は窓際席で、右側に窓(というか壁)が見えます。
座席のリクライニングは手動ですが、レッグレスト、フットレストもあります。
座席は2-3-2の7アブレストです。ビジネスクラスはそれほど混んではいませんでした。
機内食(1)
ビ ジネスクラスは座席が広いのが何と言っても長時間フライトに嬉しいですが、食事もまた楽しみの一つですね。このとき、メニューはこの写真のものでしたが、 なんと1セット(片道)分のメニューしか載っていません。行き帰り同じメニューを提供していたのか、それとも方向別のメニューブックレットを積んでいたの か。後者だとするとこの点に関してだけは今のファーストクラスより贅沢ですね。
当時は9.11の余波も覚めやらぬころで、クラスを問わず金属製のナイフはご法度。そのため、プラスチックのナイフになっています。なんとも残念な感じですが仕方ありません。
一緒に飲んでいるシャンパンはChampagne Duval-Leroy Flur de Champagne Brut Non Vintageです。グラスは短いけれど足がついているタイプで、実は私は現在のグラスよりこちらのほうが好みです。
前菜:
海老と蟹のカクテル アヴォカド添え
パルマ産生ハムとマンゴー
アーティチョークのマリネ イタリア風
アントレ:
牛フィレ肉のステーキ フォアグラ添え マデラ酒風味のソース
フライドポテト アスパラガスのバター風味 キャロットのヴィッシー風
季節のサラダ
テーブルロール
最初の食事に私は洋食をチョイス。当時は前菜とメインディッシュが分かれておらず、ワンプレートでした。メインディッシュを「アントレ」というあたり、アメリカンですねぇ。ワインは白が2種類、赤が3種類提供されていました。
やっぱりナイフはプラスチック。コーヒーには既にミルクが入ってますね。サーブされるときに入れてくれた記憶があります。
食後酒を頼んでみました。チョコレートがついてきています。そこそこ広いカクテルテーブルですが、隣の席と共用です。場所取りでケンカしないでね。
テレビはこのくらいの大きさ。さすがに小さめでちょっと古さを感じさせます。それにしてもこの映画...ICE AGEですね。
足 元のスペースはこのくらい。慣れてくると決して広大とはいえないのが分かります。でも、エコノミーしか乗ったことのなかった私にとっては別世界。足元にカ バンを置いて足置きにして、おやすみなさ~い。ちなみに右に見えるMILD SEVENは成田に迎えに来てくれる友人へのお土産です。
機内食(2)
アントレ: うなぎ御飯
お惣菜、香の物、緑茶
2食目には和食をチョイス。これもワンプレートでした。和食なのにフレッシュフルーツをつけてくるあたりがアメリカン?
1年ぶりの日本へ
2回目の食事を済ませるとまもなく懐かしい日本です。
飛行機は青々とした8月の田んぼの上を飛んでいます。1年ぶりに見る光景。もうすぐ着陸です。
あっという間の13時間。お世話になった座席を立ちます。
成田では飛行機は沖止めになっていて、バスでターミナルへ移動でした。向こうにはユナイテッドの飛行機も見えます。
さて人生初のビジネスクラス。次はいつになったら乗れるのか...それは5年も後になってからなのでした。
後日談
さて、帰国して会社に戻ってしばらくして、総務から電話がかかってきました。
「帰国の際の航空券について、現地の旅行代理店からビジネスクラスの代金を請求されているんですけど」
え? やっぱりまさか?
「私は指示通りにチケットを送って、発券されて送り返されてきた航空券で乗っただけですけど」
「そうですか...わかりました」
その後、チケット代がどのように処理されたのかは知りません...。
匿名
画面が真っ暗、でもカーソルは出てる状況。
探して、ここにたどり着きました。
パスワード入力で、復活!
修理に出す寸前でした。ホントにありがとう!