なぜU2アルバムスパムはAppleの狂気なのか(削除方法あり)

勝手に変なアルバムが

最近気付いたのですが、iPhoneの「Music」内に転送した覚えも購入した覚えもない曲が入っていました。

ありがたいアップル様のプレゼント

既に旧聞の類になってしまいますが、これはiPhone 6/6 Plusが発表されたとき(2014年9月)にAppleが無料で配信したU2の「Song of Innocense」というアルバムです。

5億人のiTunesユーザに1億ドルをかけてプレゼントしてくれたそうですが、興味のない人にとっては不要な上、ストレージ容量に制限のある人には大きなお世話、ありがた迷惑です。

私の環境では、iPhone 5s (iOS 8, 64GB)やiPad 3 (iOS 5.1.1, 64GB)には入っておらず、なぜか一番容量のきついiPhone 4 (iOS 7.1.2, 8GB)に入っていました。ありがたくって涙が出るね、もう。

削除方法

この削除がまた一苦労。単純に「ミュージック」から消そうと思っても消えないのです。リブートしてもiCloudのアカウントを本体から削除(iOS 7の場合)してもゾンビのように残っています。

しばらくあちこち調べてようやく削除に成功しました。その方法ですが、以下の通りとなります。

Appleの削除ページで削除ボタンを押す

まず、Appleが用意している「Song of Innocense」削除専用ページがありますので、そこで「アルバムを削除する」を押して削除します。でもこれだけでは多くの人は本体からは削除されません

iTunes & App Storeからいったんサインアウトする

iTunes Matchという有料のサービスに入っている人は本体からも削除されるらしいのですが、そんなものを利用していない私は削除されませんでした。

結局、iPhoneの「設定」→「iTunes & App Store」→「Apple ID: 自分のメールアドレス」をタップして、「サインアウト」を押すことでいったんサインアウトすると、無事消えました。もう一度サインインして終了です。

なお、ここで「iCloud」から「サインアウト」(iPhone 4やiOS 7の場合は「アカウントを削除」)しても削除されません。ちょっとはまりポイントなので注意。

結局なんだったのか

私は追いかけていませんでしたが、iPhone 6やiOS 8の発表でU2が登場し、ミニライブをするとともにこの配信も発表したとか。会場では歓声に包まれたようですがインターネット上では同等以上のブーイングにも包まれる結果となったようです。

この件に関しU2は「調子に乗っちったよ。テヘ」と謝罪しているようですが、自分のアルバムなら5億人のiTunesユーザに強制的に押し付けても喜ばれると思った彼らも、削除の方法も用意せず(上記の専用の削除ページは当初はありませんでした)一方的に配信するという手段をとったAppleも、まさに「傲岸不遜」を地で行くような展開になりました。

ちょっと人気があるからといって何をやっても誰からも支持されると考えるなんて、狂っています。今回のことをWebで少し調べると「でも(アルバムを)支持している人も多いです」的な論調が多いですが、勘違いも甚だしいです。

こういうのは「希望する人が」ダウンロードできるようにして初めてありがたいのです。さらにいうと「期間限定ではなくいつでも」ダウンロードできるようにすればもっと良かったでしょう。このアルバムは期間限定でのフリーダウンロード(押し付け)で、いったん消した状態で期間を過ぎると有料になるそうなので。

調べなければ消す方法が分からない、その方法も私も含めiPhoneを使う一般市民には決して平易だとはいえない。なけなしの容量だって使われてしまいます。iPhoneユーザの76%が16GB以下のモデルを使い、1割のユーザが毎日容量不足にあえいでいるという調査報告もあります。

容量に関して言えば、セキュリティ対応も多数あるiOS 8へのアップグレードに際し容量不足で困っているという話も多いですね。それに対し「iTunesを使ってください」という回答は、現在の若い層がパソコンを持たずスマートフォンのみですべてをこなしている現状に正しく対応しているのでしょうか。10数年前にMicrosoftが次々に新しいOSでHDDやメモリ容量、CPUパワーを喰いつぶして批判されたのは思い出す必要のない遠い昔なのでしょうか。

このアルバム、iPhoneユーザの中には、よく分からないまま放置になっている人もいると思います。そしてシャッフルプレイで勝手に知らない曲がかかったり、容量が圧迫されたりするのを我慢しているかもしれません。

あれだけ豊かな想像力をもって革新的なプロダクトと経験を創出した企業が、なぜこんな簡単なことに想像力が働かなかったのでしょう。それともあえて予想してのことなのか。

Appleが理性の箍を外しかけているのを垣間見た気がします。

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