世界のトップを10秒で納得させる資料の法則

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  • 更新日:2015/07/04
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長いタイトルだなぁ

と最初は思いました。だいたいタイトルに凝りすぎている本は内容もあまり期待できないという先入観があるのですが、執筆者はソフトバンクで孫正義氏の側近として氏に対するプレゼンの成否を自身のも含め見続け、その能力を磨き続けてきたという人です。読んでみることにしました。

なお、刊行は2015年5月です。

10のケーススタディ

本書は10の章から成っており、それぞれが業務処理報告書だったり議事録だったり企画書だったりと、資料の種別ごとに効果的な表現方法について詳述しています。

とにかく数字!

孫社長がそのような性格のようで、数字に対するこだわりは並々ならぬものがあります。

群管理や回帰分析、パレート図などの分析手法もたくさん登場します。ただ、これらは聞いて難しそうな感じもしますが、Excelでできる範囲のことであり、ツールが発達している現在、計算が難しいなどということはありません。

Excelでと言いましたが、単に自動で出てきただけのグラフではやはり足りません。言いたいのは絶対値なのか上昇(下降)傾向なのか、一目見てその言いたいことが読み取れるグラフになっているか、そういったことに徹底的にこだわっています。

さらに大事なことは数字の意味をきちんと把握してメッセージ化するということでしょう。なんとなく数字を並べておいて雰囲気を読み取ってもらおう的なごまかしは孫氏には通用しないようで、徹底的に数値とその意味を洗い出し、そこに明確なメッセージを載せることで初めて見てもらえる資料になる、ということです。

プレゼンテーションと企画書

私が個人的に参考になったのは実は数値の部分そのものではなくプレゼンテーション(ケーススタディ9)と企画書(ケーススタディ10)です。この両者は似て非なるものですが、どうして違うのか、それぞれどのようにまとめるかなど、具体的に記述されています。

たとえば、プレゼンテーションは「ワンスライド・ワンメッセージ・ワンイメージ」であり、「話」で補完できることもあり何でもかんでもスライド内に盛り込みません。むしろメッセージを短くまとめるとともにエレベータピッチのように限られた時間でメッセージを伝えるスキルが必要としています。

一方、企画書は自分の手元を離れて独り歩きするかもしれないため、少し異なる伝え方になります。ベストな企画書はA4で1枚。トヨタなどA3が主流の会社もあるようですが、筆者は読む人の目の動きなども考えて紙や字の大きさ、レイアウト、イメージの使い方、そしてもちろん数字などについて説明しています。要は「つかみ」であり、これができない時点で(少なくとも孫社長には)読んでもらえず、企画書として意味をなさない、というわけです。

数字を気にしなければいけない人におすすめ

本書は特に数値の取り扱いにこだわって、その伝え方について書いています。ビジネスで数値を考えなくていいという人はあまりいないでしょうが、特に数値にかかわってそれを伝える仕事をしなければならない場合に役立つでしょう。

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