変人のように考える
のっけからなんですが、これが原題です。Think Like a Freak: The Authors of Freakonomics Offer to Retrain Your Brain (Amazon)といいます。著者はSteven LetvittとStephen Dubnerです。
読んだのは日本語訳です。
物語を語るように
本書が大変読みやすいのは、物語を語るように、理論よりも実践的な内容を重視しているためでしょう。
ホットドッグの早喰い大会で並み居る強豪を抑えて大差で優勝(25本から50本に記録を伸ばした)した小林尊氏の事例では、ホットドッグを食べる方法について、他の人がやっている方法に疑問を持つことから始まっています。みんなはとにかく入るだけ口に詰め込んで食べているが、それが「戦い」としての食べ方として最適なのか。
そこでパンとソーセージを別々に食べるという手法を編み出し、効率化を重ねてそれまでの記録を大幅に塗り替えます。
問題設定の仕方
ここでポイントとなっているのは、常識を疑い、そもそもの問題をとらえなおすことから始めることです。本書によれば、胃潰瘍の根本原因がストレスや刺激の強い食べ物ではなく、ヘリコバクター・ピロリという菌だったという話も、誰もが常識と考えて疑わなかった「胃の中は強酸なので菌は生きられない」という常識を疑うことから始まったそうです。
他にも、学力アップのためには制度改革より眼鏡を配布するほうが安上がり、犯罪の減少は妊娠中絶の合法化が大きな役割を果たしていた(不幸な環境で育つ子供が減ったため)など、常識を疑ったがゆえに出た答えが豊富に説明されています。
人はインセンティブで動く
問題解決に人の協力が欠かせないなら、人がインセンティブにより動くものだということを理解すべきだと言います。
交通事故の被害者に対し、重傷者への損害賠償よりも死亡事故の賠償金のほうが安いがために轢いたあと助けず殺してしまった中国の例や、「みんながやっているから」というインセンティブを与えて省エネを実現した例などが挙げられています。人は道徳では動かず、「自分のトク」のために動くということです。
最後はコイントス?
どうしても何が正しいかわからない場合、「ランダムに」決めてしまうのも手だと言います。実際に著者らはWebサイトで乱数による決断支援を提供し、全体で60%もの人がその結果に従ったそうです。
本書は、豊富な事例に基づいて、人の行動についてわかりやすく伝えています。何か困難な問題に立ち向かわなければならないとき、一読の価値があります。読み物としてもたいへん面白く、「その手があったか!」という話がたくさんあり、お勧めです。
匿名
画面が真っ暗、でもカーソルは出てる状況。
探して、ここにたどり着きました。
パスワード入力で、復活!
修理に出す寸前でした。ホントにありがとう!