ある日、私が使っている住友三井銀行(SMBC)より、ダイレクトメールが届きました。
SMBCデビットでAmazonを1回利用すると、1,000円分のAmazonギフト券がもらえるそうです。
最近は電子マネーやらデビットカードやら、囲い込みで競争が激しいので、その一環でしょう。
では乗ってみようか、ということでエントリーしてみました。
これが最悪の体験になるとも知らずに...。
では、じっくりとご覧いただきましょう。
それはEメールから始まった
Eメールで届いたリンクを開くと、キャンペーンのページが出てきます。
そのページ内をクリックすると、ログインページに行きます。
まず、ログインしないとキャンペーンにエントリーができないのはいいとしましょう。
キャンペーンでは個人情報を使う必要もありますしね。
しかし、ログイン後出てくるのは普通のトップ画面。
ここで、画面右下の方に浮かんでいる「Amazonギフト券1,000円分もれなくもらえる!」のポップアップを探して、そこをクリックしなければなりません。
キャンペーンからログインしたのだから、すぐにエントリーできても良さそうなものですが、そこはぐっと我慢。
それにしても、SMBCはポップアップ大好き。
今日は必要な時だからいいけど、ポップアップはいつもは邪魔。うざい。
ポップアップをクリックして移動すると、またキャンペーンのページが!
だから、もうエントリーするつもりでここに来ているんだって!
「キャンペーンにエントリーする」をもう一度クリックさせるってどういうこと?
最悪体験は続く...
しかし、ここで終わりではありません。
なんと、「エントリーする」をクリックしたのに、また「申込ページへ」をクリックさせるっていい加減にしろ〜!
何度エントリーページを遷移させれば気がすむのだ?
そして、極め付けはコレ!
ユーザ情報を名前から口座番号から、全部入力させることになっている!
...ログインさせていたよね?
あれは何だったの?
全情報入力させるなら、ログインする意味ないじゃん。
そしてこの入力ページがまた使いにくい。
スマホでやってみると、適切な入力モードになっていないので、例えば口座番号の入力でひらがな入力モードになっていたりする。
本来ログインしてるから、こんな入力も確認も不要なのに。
なに、Step 3だって? Step 8の間違いじゃないの? ここまでで既に8画面目ですが。
ありえない。ひたすらありえない。
これ以上ないほど簡単なANA
一方、ナイスなUXといえばANA。
やはりキャンペーンのEメールを見てみましょう。
どでかい画像と「キャンペーン実施中!」「Click」と、これ以上ない形でわかりやすい。
これで「キャンペーンにどこから入るのかわからない」とは言わせませんね。
クリックすると出てくるのがこちらの画面。
お名前、お客様番号は既に入っています。
「お客様の情報をご確認のうえ、「参加登録」ボタンを押していただければ自動的に登録が完了致します。」
で、「参加登録」ボタンが赤くなっており、どうすればいいか一目瞭然。
クリック2回。自動参加にしない限りこれ以上簡略化することは無理、というレベルにまで簡単化しています。
比較すると
この2つのれいを少し比べてみましょう。
まず、導入部分が圧倒的に違います。
ANAは馬鹿でかい画像で、「17,000マイルプレゼント」「キャンペーン実施中」できること、やることをはっきりと明示。一方SMBCはまずログインさせる。
もちろん普通の利用形態で、ANAはサイトに常にログイン状態、SMBCは銀行なのでデフォルトがログアウト状態という事情もあります。
ANAの場合もログインしていないコンピュータからだと、「キャンペーン実施中」をクリックした次にログイン画面が出ます。
次に、キャンペーンページへの移行も、自動で行われるANAと、通常のログイン画面にポップアップを表示させるSMBCとで圧倒的に異なります。
ANAではログインしていないコンピュータからログインした場合も「通常のログイン後画面」なんて出ません。
コンテキスト(ユーザはキャンペーンのEメールからやってきている)から、ユーザが何をしたいかわかっているからです。
SMBCはデザイナーが20世紀人なのか、開発担当者が好きだったのか、よーしパパJavaScript使ってポップアップだぞー、じゃねえよ! 普通に表示してくれ...。
キャンペーンページも、クリック1回で終わってしまうANAと、何度も画面遷移をさせた挙句個人情報を入力させるSMBC。
あまりに違います。
これはどういうことか
根本的なデザインセンスの問題もあるのですが、おそらくSMBCはこのキャンペーンの申し込みを"Reservation Engine"という外部のサービスに移譲しています。
SMBC側とReservation Engine側で連携しないで画面設計をしているから、
SMBC「エントリーリンク作らなきゃ」
Reservation Engine「いきなり申し込みフォーム出したら不親切だな、メインページからリンクしなきゃね! (キリッ)」
てなことが起こっているのでしょう。
しかも、
SMBC「口座持っている人だけがエントリーできるのだから、ログインしてもらわないとねっ!」
Reservation Engine「個人情報保護でSMBCから情報が来ないから、エントリー情報入力してもらわなきゃっ! (キリッ)」
と、こんな感じで何度も似たようなページが出てきたり、入力をやり直したりになっているのでしょう。
しかし、そんな事情はユーザーには何の関係もありません。
お互いに連携して画面遷移を最適化したり、エントリーのためのログイン情報を受け渡したり、そのために必要ならユーザー同意をとったり、そういうことをサボっているからこういうことになるのです。
結果出てきたものは「最悪のユーザエクスペリエンス」のみです。
今どきここまで酷いのは珍しいです。
ANAを始めUXの素晴らしいサイトはいっぱいあるのだから、少しは研究してください。
こんなだからネット銀行やFintechに押されちゃうのよ?!
匿名
画面が真っ暗、でもカーソルは出てる状況。
探して、ここにたどり着きました。
パスワード入力で、復活!
修理に出す寸前でした。ホントにありがとう!