SMBCとANA、最悪と最善のWebユーザ体験の例をご覧いただきます

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  • 更新日:2019/04/27
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ある日、私が使っている住友三井銀行(SMBC)より、ダイレクトメールが届きました。

001.pngSMBCデビットでAmazonを1回利用すると、1,000円分のAmazonギフト券がもらえるそうです。

最近は電子マネーやらデビットカードやら、囲い込みで競争が激しいので、その一環でしょう。

では乗ってみようか、ということでエントリーしてみました。

これが最悪の体験になるとも知らずに...。

では、じっくりとご覧いただきましょう。

それはEメールから始まった

Eメールで届いたリンクを開くと、キャンペーンのページが出てきます。

そのページ内をクリックすると、ログインページに行きます。

002.pngまず、ログインしないとキャンペーンにエントリーができないのはいいとしましょう。

キャンペーンでは個人情報を使う必要もありますしね。

003.png

しかし、ログイン後出てくるのは普通のトップ画面。

ここで、画面右下の方に浮かんでいる「Amazonギフト券1,000円分もれなくもらえる!」のポップアップを探して、そこをクリックしなければなりません。

キャンペーンからログインしたのだから、すぐにエントリーできても良さそうなものですが、そこはぐっと我慢。

それにしても、SMBCはポップアップ大好き。

今日は必要な時だからいいけど、ポップアップはいつもは邪魔。うざい。

004.png

ポップアップをクリックして移動すると、またキャンペーンのページが!

だから、もうエントリーするつもりでここに来ているんだって!

「キャンペーンにエントリーする」をもう一度クリックさせるってどういうこと?

最悪体験は続く...

しかし、ここで終わりではありません。

005.pngなんと、「エントリーする」をクリックしたのに、また「申込ページへ」をクリックさせるっていい加減にしろ〜!

何度エントリーページを遷移させれば気がすむのだ?

そして、極め付けはコレ!

006.pngユーザ情報を名前から口座番号から、全部入力させることになっている!

...ログインさせていたよね?

あれは何だったの?

全情報入力させるなら、ログインする意味ないじゃん

そしてこの入力ページがまた使いにくい。

スマホでやってみると、適切な入力モードになっていないので、例えば口座番号の入力でひらがな入力モードになっていたりする。

007.pngやっとのこと入力し終わると、入力内容の確認。

本来ログインしてるから、こんな入力も確認も不要なのに。

008.pngそして、「エントリー完了」

なに、Step 3だって? Step 8の間違いじゃないの? ここまでで既に8画面目ですが。

ありえない。ひたすらありえない。

これ以上ないほど簡単なANA

一方、ナイスなUXといえばANA。

やはりキャンペーンのEメールを見てみましょう。

011.png

どでかい画像と「キャンペーン実施中!」「Click」と、これ以上ない形でわかりやすい

これで「キャンペーンにどこから入るのかわからない」とは言わせませんね。

012.png

クリックすると出てくるのがこちらの画面。

お名前、お客様番号は既に入っています。

「お客様の情報をご確認のうえ、「参加登録」ボタンを押していただければ自動的に登録が完了致します。」

で、「参加登録」ボタンが赤くなっており、どうすればいいか一目瞭然

013.pngそして、次の画面で「キャンペーン参加登録は完了です」

クリック2回。自動参加にしない限りこれ以上簡略化することは無理、というレベルにまで簡単化しています。

比較すると

この2つのれいを少し比べてみましょう。

まず、導入部分が圧倒的に違います。

ANAは馬鹿でかい画像で、「17,000マイルプレゼント」「キャンペーン実施中」できること、やることをはっきりと明示。一方SMBCはまずログインさせる。

もちろん普通の利用形態で、ANAはサイトに常にログイン状態、SMBCは銀行なのでデフォルトがログアウト状態という事情もあります。

ANAの場合もログインしていないコンピュータからだと、「キャンペーン実施中」をクリックした次にログイン画面が出ます。

次に、キャンペーンページへの移行も、自動で行われるANAと、通常のログイン画面にポップアップを表示させるSMBCとで圧倒的に異なります。

ANAではログインしていないコンピュータからログインした場合も「通常のログイン後画面」なんて出ません。

コンテキスト(ユーザはキャンペーンのEメールからやってきている)から、ユーザが何をしたいかわかっているからです。

SMBCはデザイナーが20世紀人なのか、開発担当者が好きだったのか、よーしパパJavaScript使ってポップアップだぞー、じゃねえよ! 普通に表示してくれ...。

キャンペーンページも、クリック1回で終わってしまうANAと、何度も画面遷移をさせた挙句個人情報を入力させるSMBC。

あまりに違います。

これはどういうことか

根本的なデザインセンスの問題もあるのですが、おそらくSMBCはこのキャンペーンの申し込みを"Reservation Engine"という外部のサービスに移譲しています。

SMBC側とReservation Engine側で連携しないで画面設計をしているから、

SMBC「エントリーリンク作らなきゃ」

Reservation Engine「いきなり申し込みフォーム出したら不親切だな、メインページからリンクしなきゃね! (キリッ)」

てなことが起こっているのでしょう。

しかも、

SMBC「口座持っている人だけがエントリーできるのだから、ログインしてもらわないとねっ!」

Reservation Engine「個人情報保護でSMBCから情報が来ないから、エントリー情報入力してもらわなきゃっ! (キリッ)」

と、こんな感じで何度も似たようなページが出てきたり、入力をやり直したりになっているのでしょう。

しかし、そんな事情はユーザーには何の関係もありません

お互いに連携して画面遷移を最適化したり、エントリーのためのログイン情報を受け渡したり、そのために必要ならユーザー同意をとったり、そういうことをサボっているからこういうことになるのです。

結果出てきたものは「最悪のユーザエクスペリエンス」のみです。

今どきここまで酷いのは珍しいです。

ANAを始めUXの素晴らしいサイトはいっぱいあるのだから、少しは研究してください。

こんなだからネット銀行やFintechに押されちゃうのよ?!

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