Pittsburgh的住宅事情
(Dec. 2, 2001/modified Dec. 9, 2001)この町に来る日本人は殆どが大学目当てで、滞在期間は長くても10年くらいだから、殆どの人は賃貸住宅に住んでいると思われる。
賃貸住宅の形態はいくつかあるが、多くの人が住むのがアパート(apartment)である。ちなみに日本では木造建築のものを「アパート」、鉄筋コンクリートのものを「マンション」と呼んで区別したりするが、英語でマンション(mansion)とは、豪族が住むような大邸宅のことを指すので間違っても「日本ではマンションに住んでいた」などと言ってはいけない。いや、本当に住んでいたならいいんだけど...。apartmentそのものの意味は日本とほぼ同じで、日本でいうところの「アパート」と「マンション」をあわせたようなものである。こっちだと木造というのはまず見かけないし、日本のような区別は不要なのかも。
他に、テラスハウス(terrace house)というのもある。同型の住宅が横に何軒もつながっていて、そのうちの1軒を借りるというものである。値段もそんなにアパートと変わらないようだが、私は住んでいないのでよくは知らない。管理事務所がいろいろ面倒を見てくれるアパートと違い、テラスハウスは自分で管理しなければならない部分が多いが、アパートより広いし、小さいながらも庭がついてたり、また違った良さがあるのだろう。主に家族で引っ越してくる方が入居している。
さて、私はアパート暮らしである。いろいろと日本と違うところもあって興味深く、「ココが違う」に書こうかと思ったのだが、量が多くなりそうなのと、どうも私の住んでいるところが常識というわけでもなさそうなので別項とした。アメリカのアパートの一例として考えていただければいいのではないかと思う。
まず契約。アパートメントにはだいたい管理事務所(management office)があり、平日ならそこに不動産屋が常駐しているので、その事務所で契約となる。契約書をよく読み、はんこを押す...じゃなくてサインをするのはほぼ日本と同じなのだが、こんな法律用語だらけの契約書なんか分からん! でもアメリカは契約社会で契約書へのサインは重要なことだから、一応ざっとでも目を通す。特に、お金に関わる部分と途中解約に関する部分はサイン前にきちんと読んだほうがいい。たとえば、うちのアパートの場合、
- 上下水道、ヒータは家賃に込み
- 毎月5日を過ぎて家賃を支払わなかった場合$50チャージ
- チェックが無効だった場合$50チャージ
- 解約の場合、少なくとも60日前に知らせる
といった条件がある。アメリカのアパートの契約は1年が普通で、それ以下だと家賃が上がるとか入居できないとか炭疽菌が送られてくるとか(嘘)狂牛病になるとか(だから嘘だってば)いろいろと不都合がある。よく確認しよう。また、出入りの頻繁な外国人は、部屋のサブレット(sublet)をすることもありえるかと思うが、管理人の許可なくできないのが普通。この辺も契約書に書いてあるので可能性のある人は読んだほうがいいかもしれない。ちなみに、サブレットとは、また貸しのことである。
さて、上記でヒータを赤字にしたのはわけがある。この部分が込みかそうでないかが年間の燃料費に大きく響くからである。Pittsburghは寒いため、冬の暖房費はかなり高い(私は経験してないので具体的な金額はいえない)らしい。そのため、これが家賃に込みであるということは、その分の燃料費が割引されているようなものなのである。ちなみに、上下水道は込みであるところが多いが、電気代は普通各自払いである。
入居時にやらなければいけないことはまだある。
- 電気の契約
- 電話の契約
- ケーブルテレビの契約
契約だらけ。私の場合、電気と電話は管理事務所の方で手続きをしてくれた。この辺がアパートの便利なところか。電話はIDが2種類いるので用意しておく必要がある。私はパスポートと国際免許を使ったが、大部分の人がそうなのではないだろうか。テレビはしばらく見えてたので放っておいたのだが、ある日とうとう見えなくなったのでAT&T Broadbandに電話して工事してもらった。といえば聞こえがいいが、実のところ工事の人が誰かの入退居のタイミングで私の部屋へのケーブルを切ったために見えなくなっただけらしい。直後に再度接続工事の依頼をしてしまったから、さぞタイミングよく入居したものだと思ったことだろう...。なお、このアパートにはガスはない。
暮らしの上で得てして困るのはごみ問題だが、うちの場合、それぞれの階にダストシュートがあるので、スーパーのビニール袋に入れたごみはそこに投げ入れる。また、ビン・缶類、ダンボールといったものはダストシュートの前に置いておけば処分してもらえる。
処分してもらえる、と書いたが、アパートメントには専門のワーカーがたくさんいる。管理事務所には平日のビジネスタイムには常時3人のマネージャがいるし(土曜日は少なくなる)、フロントドアにはドアマンがいる(土曜も)。駐車場(ガレージ)にも管理人がいるし(こちらは年中無休)、廊下などを掃除してくれる人も何人かいる。これが普通なのかどうかは知らないが、一般的に日本よりは係の人が多いのかもしれない。
さて、部屋の中に入ってみよう。私の部屋は1ベッドルーム。アメリカの部屋数の表現は"n bedroom(s)"という言い方をする。私は"3 bedrooms"と書いてあるのを見て「寝室が3つもあるのか! アメリカ人は贅沢だなぁ」と思ったものだが、何の事はない、3 bedrooms≒3LDKである(実際にはダイニングやキッチンのつくりによって多少異なるが)。そんなわけで、私の部屋も1LDKといったところ。2部屋+キッチン、バスというつくりである。たださすがに部屋は広くて、リビングは16畳くらい、ベッドルーム12畳くらい。おかげで10何人というお客さんが来るパーティも楽々である。
左の写真は窓から見える昼間の風景。天気は雨。右の写真は同じ方向を写した夜の風景。遠くに見える明るい場所はEast Libertyという地区。夜景は結構きれいな方だと思う。
ちなみに、日本人は家の中で靴を脱いで生活する文化だが、こちらではどうかというと、やはり靴を脱いで生活する人が多い。そのため、念入りにカーペットのクリーニングをしてもらうか、日本人が住んでいたところに住むということになる。私の場合前の住人が日本人で、既に2年間靴を脱いで生活していたところなので私も安心して靴を脱いでいられる。余談だが、アメリカの家庭でも必ずしも靴を履いて生活しているわけではない。私がThanksgivingでお邪魔したご家庭は、母親以外は靴を脱いでいた。母親がはいていた靴も屋内用ではないかと思う。子供たちは床に直接座ったりしてたし、あんまり土足文化という感じではなかった。客である私は靴を履いていてもいいといわれたけど。
閑話休題。部屋で注意しなければいけないのは、照明がないこと。日本だとceiling照明用の口が天井についていたりするが、それもあまりない。自分でスタンドを用意する必要がある(安いけど)。こちらの照明は大部分が白熱灯で、蛍光灯は殆どない。私は蛍光灯の白い光はあまり好きではないのでこれはいいのだが、白熱灯だと全体的に光量が足りなくなりがちで、適宜手元照明などが必要になる。ちなみにリビングルームのメイン照明はすごく明るいスタンド(写真参照)なのだが、以前の住人から受け継いだものなので何だかは分からない。少なくとも白熱とは違う。光の色はほぼ同じだけど。球は15cmくらいで、角張ってて細長い。ものすごく熱くなるのでサーモスタットで自動的に消えたり再びついたりする。これがなんという電灯なのか気になって夜も寝られず昼寝してしまうので、どなたかご存知の方教えてください。
部屋はこれくらいにして、台所に目を向けてみる。広さは1.5x2.9m程度で、あまり広くはない。アパート側で設置されているものは以下のものである。
- 冷蔵庫
日本のアパートでもシステムキッチンなどで設置されているところもあるのかもしれないが、こちらの冷蔵庫は何の変哲もない普通の2ドア冷蔵庫である。しかも壁際にインストールされているため、扉が90度までしか開かず、中のトレイが取り出せなかったりする。冷蔵庫ごと動かせばいいんだけど。- 電子レンジ
英語ではmicrowaveという。これも普通の電子レンジ。食品のパッケージを見ていると、アメリカ人はとにかく何でも電子レンジで調理しようとする風潮がある気がする。- コンロ
英語ではstoveという。うちのはガスではなく電気で、4つ口。電気は火力調節がしにくいので私は好きではない。お湯を沸かすときは(ヒータがタダなので)なるべく水道から熱いお湯をやかんに入れてから沸かす。せこい。- オーブン
私はこちらに来て初めてオーブンというものを使った。最初から付属してなかったら使う機会はなかっただろうなぁ。stoveの下にあり、stoveとセットでひとつの什器になっている。- 食器洗浄器
渡米直後に滞在していたホテルにもあったしここにもあるので、私はアメリカの台所には普通に食器洗浄器があるものかと思っていたが、まわりの人の話ではそうでもないようだ。これも調理台と一緒になっている。ちなみに私は殆ど動かしたことがない。一人の食事で出る洗いものなんて手で洗ってもたかが知れているからである。- 流し台の下のカッター
なんていうのか正式名称を知らないが、流し台のパイプの中にカッターが仕込まれていて、スイッチを入れるとパイプに詰まっているものを粉砕することができる。そのため、野菜くずなどを流し台から流してしまって構わないようだ。しかし、私はそれになんとなく罪悪感があって、基本的には野菜の皮などごみ箱に捨てている。これもやはり滞在していたホテルにもあったのだが、一般的なのだろうか?
このカッター、ディスポーザーというそうです(Thanks>アーガマさん)。上記のものに加え、私が用意したのはコーヒーメーカー(普通のとエスプレッソメーカーと2種類...前の住人から受け継いだため)、キッチンカッター(買った)、オーブントースター(受け継いだ)といったところか。広くはないが、収納も多くそこそこ便利なキッチンだと思う。アパート側で用意されるものが日本より多いため、短期滞在者にとってはありがたい。
Pittsburghの冬には重要なヒータは、天井に入ってる気がする。天井を触ると常に暖かいのだ。ただ、同じアパートの住人で「床暖房じゃない?」という人もあり、ひょっとすると階によって違うのかもしれない。なお、クーラーもついているが、今年の夏は殆ど必要なかった。こちらは電気である。
バスは普通...だと思う。西洋式の低いバスタブ。シャワーは壁付けでホースはない。トイレ、洗面台は同室だがゆったりしている。水道・ヒータが家賃込みということはお風呂に入り放題ということで嬉しいのだが、バスタブがバスタブなだけにもっぱらシャワーである。
さてここまで読んで気付かれた方もいるかもしれないが、洗濯機がない。というのも、洗濯機はないのが普通らしく、アパートにはコインランドリーがついているのだ。うちの場合、各階にコイン洗濯機が3台、乾燥機が2台あり、いつでも使える(空いてればね)。また、アパートでは洗濯物を外に干すことはしない(というか、ベランダがないのでできない)ので、乾燥機か室内物干しを使うことになる。私は自然乾燥を好んで室内物干しを使っている。ちなみにコインランドリー$1、乾燥機75セント。
とまぁ、私の住んでいる環境はこんな感じである。デジカメがあれば部屋の写真でもとってお見せしたいところなのだが、残念ながら持ってないので文字だけということで。
※デジカメを買ったので写真を入れました(12/9/2001)。
...ところで私が帰国するとき、この部屋どなたか引き継ぎませんか(笑)?